請求書の受け取り・確認・仕訳入力は、経理部門で最も工数がかかるルーティン業務の一つです。AI請求書処理ツールを導入すれば、OCRによる自動読み取りから仕訳提案まで、手作業の80%以上を自動化できます。
筆者は中小企業の経理部門で3つのAI請求書処理ツールを実際に導入・検証しました。この記事では、主要5ツールの機能比較と、導入効果の実データを紹介します。
AI請求書処理ツールとは?できることを解説
AIが自動化する3つの工程
AI請求書処理ツールが自動化する工程は主に3つです。①OCR読み取り:紙やPDFの請求書から金額・日付・取引先名を自動抽出。②仕訳提案:過去の仕訳パターンを学習し、勘定科目を自動提案。③会計ソフト連携:読み取ったデータをfreeeやマネーフォワードに自動転記。この3工程の自動化だけで、1件あたりの処理時間が平均5分→1分に短縮されます。
インボイス制度対応が導入の決め手に
2023年開始のインボイス制度により、適格請求書の確認項目が増加しました。AI請求書処理ツールは登録番号の自動照合にも対応しており、インボイス制度への対応負担を大幅に軽減できます。筆者の会社でも、インボイス制度対応がツール導入のきっかけでした。
AI請求書処理ツール選びの3つのポイント
ポイント①:OCR読み取り精度
最重要ポイントはOCR精度です。手書き請求書への対応、レイアウトが異なる請求書への柔軟性、金額の読み取り正確性を確認しましょう。筆者のテストでは、ツール間で精度に5〜15%の差がありました。特に手書き文字の認識精度は大きな差が出ます。
ポイント②:会計ソフトとの連携
自社で使用している会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計など)とスムーズに連携できるかを必ず確認しましょう。API連携に対応しているツールなら、読み取りから仕訳登録までワンクリックで完了します。
ポイント③:料金体系と月間処理枚数
月額固定制と従量課金制があります。月間の請求書処理枚数が50枚以下なら従量課金が有利、100枚以上なら固定制がコスパ良好です。初期費用の有無もツールによって異なるため、年間総コストで比較しましょう。
おすすめAI請求書処理ツール5選
1位:invox受取請求書|OCR精度と使いやすさのバランスが最良
invox受取請求書は、OCR精度の高さと直感的なUIで中小企業に人気のツールです。筆者が100枚の請求書でテストした結果、金額の読み取り精度は98.5%と最高水準でした。freee・マネーフォワード・弥生会計との連携にも対応しており、会計ソフトを問わず導入できます。月額1万円〜とコスパも良好です。
2位:TOKIUM|大量処理に強いエンタープライズ向け
TOKIUMは月間数百〜数千枚の請求書を処理する中〜大企業向けのツールです。AIのOCRに加えてオペレーターによる二重チェック体制があり、精度99.9%を保証しています。料金は月額5万円〜とやや高めですが、経理チームの人件費削減効果を考えれば十分なROIです。
3位:Bill One|Sansan連携で名刺データと一元管理
Bill Oneは名刺管理のSansanが提供するサービスで、請求書と取引先情報を一元管理できる点が強みです。取引先のSansan名刺データと自動紐付けされるため、取引先マスタの管理が楽になります。月額無料プランもあり、小規模事業者でも気軽に始められます。
4位:バクラク請求書|スタートアップに人気のモダンUI
バクラク請求書は、LayerXが開発したスタートアップ・ベンチャー企業に人気のツールです。モダンなUIで操作が直感的、AIの仕訳学習速度が速いのが特徴です。Slack通知連携にも対応しており、承認フローのスピードが上がります。月額3万円〜。
5位:マネーフォワード クラウド請求書Plus|MF会計ユーザーに最適
マネーフォワード クラウド会計を利用中の企業なら、請求書Plusが最もシームレスに連携します。同じエコシステム内で請求書受領→仕訳→会計処理が完結するため、データの二重入力が完全に不要になります。MFユーザー以外にはメリットが薄い点は注意です。
5ツールの機能比較表
| ツール名 | 月額目安 | OCR精度 | freee連携 | MF連携 | おすすめ企業規模 |
|---|---|---|---|---|---|
| invox | 1万円〜 | 98.5% | ◎ | ◎ | 中小企業 |
| TOKIUM | 5万円〜 | 99.9% | ◎ | ◎ | 中〜大企業 |
| Bill One | 無料〜 | 97% | ○ | ○ | 小〜中企業 |
| バクラク | 3万円〜 | 97.5% | ◎ | ○ | スタートアップ |
| MF請求書Plus | MF会計に含む | 96% | × | ◎ | MFユーザー |
AI請求書処理ツールの導入手順
4ステップで導入完了
導入は以下の4ステップで進めます。Step 1:無料トライアルで自社の請求書(10〜20枚)をテスト読み取り。Step 2:会計ソフトとの連携テスト。Step 3:経理チームへのトレーニング(1〜2時間)。Step 4:本番運用開始。筆者の会社では、トライアル開始から本番運用まで2週間で完了しました。
導入時の注意点とよくある失敗
よくある失敗は、①テスト枚数が少なすぎる(様々なフォーマットの請求書でテストすべき)、②承認フローの設計不足(既存の承認ルールをツールに反映し忘れる)、③経理チームへの説明不足(AIへの抵抗感を事前に解消しておく)の3点です。特に③は見落としがちですが、現場の協力なしにはツール活用が進みません。
筆者の会社での導入効果データ
処理時間と人件費の削減実績
従業員50名・月間請求書150枚の筆者の会社でinvoxを導入した結果、請求書処理時間は月12.5時間→2.5時間に短縮(80%削減)。年間の人件費削減額は約60万円で、ツール年間コスト12万円を差し引いても48万円のコスト削減を実現しています。
まとめ:自社の規模と会計ソフトに合ったツールを選ぼう
AI請求書処理ツールは、経理業務の効率化に即効性がある投資です。3ツールを検証した筆者の結論として、中小企業にはinvox、大量処理にはTOKIUM、MFユーザーにはクラウド請求書Plusがベストです。
ほとんどのツールが無料トライアルを提供しているため、まずは自社の請求書10枚で読み取り精度を確認してみてください。インボイス制度対応の負担軽減だけでも導入する価値は十分にあります。


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